とりあえず
 『おはようございます』って
 笑顔で挨拶をしなきゃ。

 そう思っていたのに……


 目が合った瞬間
 その子が固まってしまった。


 ひゃ!
 どうしよう!!


 私、笑ったつもりだったけど
 睨んでたのかも……


 こっちに来る! 
 その子が来る!


 え?


 なぜかその子が
 私の右手を両手で包みこみ
 ぶんぶん振り出した。


「桃華ちゃんだよね?
 こんな所で会えるなんて!
 すっごく嬉しい!」


 誰? 

 あなたは誰ですか?


 私の記憶をたどっても 
 全く見当たらないんだけど。


「あの……私のこと
 知っているんですか?」


「知ってるよ。
 虎ちゃんの妹さんでしょ?」


 虎ちゃん?