「モモ」


席について、次の授業の準備をしていると、隣にいる実柑に声をかけられた。


「大丈夫?」
「えっ……なにが?」
「テキスト違うし。それ、筆箱じゃなくて――お弁当箱」
「えぇ!?」


わ、私ったら。


「しっかりー」
「そ、そうだ実柑。桜井先輩と、話せたね?」


というか、睨み付けていたね。


「あー、アイツ。もう眼中にないよ」


あんなにときめいていたのに、アイツ呼ばわりしている。


「いくら顔がよくても。あんなの見たら千年の恋も冷める。やっぱり高校生なんて、まだまだガキだわ」
「そっか」


モテモテな2年上の先輩をぶった斬っている。


「そういえばこの学校の養護教諭が超イケメンとか聞いたなぁ。狙ってみようかな」


切り替わりはやすぎます、実柑さん。

それでこそ恋多き乙女。


しかも相手はセンセイ……!?


「てゆうか、モモ。浮かれてるとこ、すごーく言いにくいんだけど」
「……どうしたの?」
「あの人はやめておいた方がいいかも」