イチヤくんのぬくもりが、私に伝わってくる。


「……痛いよ。イチヤくん」
「お前が泣いてるんじゃねえかって思うと。夜も眠れねーんだわ」
「なる」


幸せに、なるよ。


「俺のこと。余計なお世話だって思うか」
「そんなこと思わないない」


絶対に、思わない。


「そうかよ」
「本当に……ありがとう。いっぱい、助けてもらってるね」
「でなきゃ。急いで帰ってきた意味ねえだろ」
「え?」
「さてと」


私から身体を離すと


「女子決勝。応援行くか」


フッと笑うイチヤくんが色っぽくてドキッとした。


なんだかいつもと違う、ような。


濡れた髪をかきあげ、オールバックになった、大人っぽいイチヤくんが別人みたい。


「ノーパン……で?」
「あそこに行けば。お前のそれ。なんとかなるだろ」


……あそこ?


「乾いたタオルも衣類も。ドライヤーもシャワーもあるだろうからな」
「保健室!」
「まあ。その前に」


そのまえに?


「キスさせろ」