「ちょっと!悠ってば!」


「あ、わりぃ」


そう言って手を離してくれた。


「…よく私だってわかったね」


「当たり前だろ」


「どこが?カラコンもしているし髪だって染めているのに」


バレては意味が無いのに。


「いや、見ればわかるだろ。だいたいそんなんでお前の可愛さが隠せるかっつーの」


私の可愛さってなんだろう…?


「ねぇ、私のどこがかわいいの?こんな地味な女。ていうか、この変装でようやっとマシになったと思うんだけど」


「お前、まだわかってねぇーの?ほんと相変わらずだな」


あ、わかった。


「なるほど、皮肉ですか!あーそうですよ、私はかわいくありませんよ」


「どこをどう捉えたらそうなるんだよ…」


「ハイハイ、わかりましたー(棒)」


「すっげー棒読み感。」


「で、本題はなに?」


「お前も薄々わかってんだろ」


わかっている、わかっているからこそ聞いてほしくない。


私の過去を口に出したくない。


「お前、あれからどこにいたんだよ」


ほら、聞いてきた。


「…関係ないでしょ」


それ以上、聞かないで。


「関係ないわけないだろ、隆文(たかふみ)さんも心配してる。」