「いっ……で、す」
息もできない私にこの人はなんで会話を求めるんだ。
いいとは言ったけどこのままだと死ぬ気がする。
人間って息できないとどれくらいで死ぬんだろう。
呆然とそんなことを思った。
美澄さんは私が重いはずなのにそんな顔ひとつもせずに私の家まで運んでくれた。
家の鍵をカバンから出そうとしたら力が入らずに落としてしまった。
拾うのもだるいというのに……。
すると美澄さんはサッと拾って鍵を差し込んだ。
「あ、りが……と」
そろそろ声が出なくなってきた。
「もう喋らなくていい」
美澄さんは不安げに私を家に連れ入った。

