自分でも聞き取れるかどうかの声量だったのに美澄さんはなぜかしっかりと聞き取って家に向かってくれる。
ああ、なんて頼りになる人だろう。
こんな人が総長だったならきっと私の時みたいなことにはならなかっただろうな。
人には向き不向きがある。
きっと私は総長なんて柄じゃなかったんだ。
意識の朦朧とした中でそんなことを考えていた。
「はっはっ、はっっ……ぁ」
息ができない。
まるで水の中に居るみたい。
酸素を求めて口を開けても全く意味をなさない。
苦しそうな私に眉間を寄せる美澄さん。
「救急車呼ぶか?」
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