「な……ぎ」
無意識に私の口からその名が発せられた。
気づいた時には遅かった。
はっ!私、なんで名前なんか口に!?
紅狼のメンバーがなんだ?とこっちを見ようとした瞬間。
私は全速力でその場から駆け出した。
行きも絶え絶えになりながら、人並みをかき分けて。
「はぁっ、はあっ……」
やってしまった。
気づかれたかもしれない。
これじゃあ恐れていたことを自分から招いてしまっている。
最悪だ……。
ゲーセンから出て少し走って人の少ない道端にぺたんと座り込んだ。
「はっ……はっ…」
荒い息を整えようとする。

