もうみんなが築き上げたものをぶち壊しにしたくない。
私のこれは一種のトラウマだった。
暴走族を追い出されたあの日のことを私は忘れたことがない。
いつも頭のどこかにチラついて離れてくれない。
取り合って貰えずに、裏切り者だと罵声を浴びせられ去ることしか出来なかった私。
思い出す情景のそこにはいつも情けない私の姿があった。
あの時の悪夢を見ることも珍しくなかった。
いつになれば立ち直れるのか私自身にも分からない。
「……でさぁ!もうほんとあそこのゲーセンは二度と行かないって決めたよ!って……聞いてる?」
如月さんが私の顔を心配そうに見ていた。

