総長さんのいうことも一理あったと思った。
知らなきゃ分からない……か。
たしかに今日のこのちょっとの時間で紅狼のメンバーも悪い人たちじゃないと思えた。
もしかしたらこんな出会い方じゃなくてもっとマシな出会い方をしていたら仲良くなれたのかな、なんて思ったりもした。
……だけど。
だからといってやっぱり紅狼に入る気にはなれなかった。
入る気になれない……って言ったら少し語弊があるかもしれない。
入る気になれないんじゃなくて、入れる気がしなかった。
私が入ることによってこの紅狼の楽しい時間を奪ってしまうんじゃないか。
そう思ってしまうのはやっぱり前の暴走族とのことがあったから。

