そんなことはしたくない。
少なくともあの時の私は暴走族を好いていた。
……でも。
ううん、やっぱり何度考えても紅狼には断りを入れよう。
私が紅狼に入るという選択肢は初めからない。
悶々とそんなことを考えていると家に着いた。
鍵を開けて薄暗い廊下を重たい足取りで進む。
私が住んでいるのは女子高校生には少し大きめの一軒家。
色々事情があってここに住んでいる。
リビングに足を踏み入れ、ひとつの写真立てに近寄る。
それは私が元メンバーたちに囲まれて楽しそうに笑っている写真。
「……暴走族、かぁ」
こんな写真、早く捨ててしまえばいいのに。

