「ぐはっ……う、ぅ」 「ごめんなさい、ほんとはやりたくなんてなかった。ごめん」 私はその人の口元の血をハンカチで拭う。 そして手にそれを握らせた。 「気が楽になったらそれで傷口を拭って。壁に激突してるから軽傷じゃないはずよ」 男を見下ろす。 「いい方向へ向きなさい少年。あの族がどうか光へ向きますように。それと、あの人たちに伝えておいて。もう関わる気は無いし現れないで欲しいと」 今更何って言うの。 会ってどんな顔をすればいいのよ。 ねぇ、旭陽…。 あんたは今、幸せ?