『好きだ。』

彼と付き合い始めたのは去年の冬。

今は付き合って半年といったところだ。

ただ、半年と言っていいのかは分からない。

だって、2ヶ月ぐらい前から、私と彼はほとんど会ってもいないし、話してもいない。

彼が、私から離れていってしまったのだ。

その理由をいくら考えても分からなかった。

彼の友達に聞いても知らないと言われた。

彼に話しかけようとしても、避けられた。

そのまま2ヶ月が経った。

そして今日、聞いてしまった。




放課後私が、6限の書道の時間に忘れた筆箱を取りに、視聴覚室に戻った時だった。

彼と友人らしき人が話していた。

女の人は、彼の頬を撫でて、言っていた。

「彼女いるんだって?見かけたけど、大した女じゃないじゃん、私の方が絶対あんたを満足させられるよ。ね?」

確かに、彼と私は釣り合わないと自分でも思う。

だけどそれを改めて言われるととても辛かった。

でも、あの女の人に言われただけならまだ耐えられた。

だけど……


「そうかもな。」
彼がそういったのを私は聞いてしまった。

私は頭が真っ白になった。

確かに彼の口から『好き』という言葉を聞いたことは無い。

だけどそれでも彼は私を大切にしてくれていた。

デートに誘えば来てくれた。

あんまり笑わない彼だけど、私とデートしている時や、話している時はたまにだけど、笑ってくれた。

電車でも壁になって、痴漢から守ってくれた。


だから口に出してはくれなくても、私と同じ気持ちだと思っていた。

それなのに、好きだと思っていたのは私だけだっていうことを知ってしまった。