『好きだ。』

「結菜……!」

大好きな人の声に私は咄嗟に振り向いた。

少し息を切らしながら、君はこっちに向かってきた。

「翔…。」

彼は私の元へたどり着くと、いきなり頭を下げた。

「……今までごめん。たくさんお前のことを傷付けた。

俺、勇気がなかったんだ。

人気者のお前に俺が釣り合うわけないって。

人から何か言われるのが怖くて、何よりお前に嫌われたくなくて、勝手に距離を置いた。」

「……今更遅いし、嫌われてるのは分かってる。
だけど言わせて欲しい。

今までずっと好きだった。一緒にいてくれてありがとう。」


「………えっ?」

信じられなかった。

君が私に嫌われることを心配して、距離を置いたことも。

釣り合わないのは私の方なのに、自分は私と釣り合わないと思ってることも。

本当は私のことが好きってことも。

だけど、あまりにも真っ直ぐ見つめられたから本心だって分かった。

「私もだよ。大好きだよ、翔。

私は君に嫌われたと思ってた。

別れ話をするのも嫌なぐらいに。

だから君のクラスに行ってああ言われた時すごく傷ついた。

だけど、今日君の本心を知れてよかった。

このままだったらすれ違ったままだったね。」


「俺のこと好きでいてくれてありがとう。」

翔は私を抱きしめてくれた。

鼓動から彼の緊張具合が伝わる。

意外と緊張しやすいんだね、君は。

それなのに、頑張ってくれて私は嬉しい。

「でもさっきの女の子に『そうかもな。』って言ってたのは?」

「それは、俺の方が釣り合わないんだって意味で言ったんだ。最後まで聞いてなかったから……」

「ごめん……」

「それに、あの人にはちゃんと『俺の彼女のことを悪く言うのは許さない。』って注意したからもう大丈夫だよ。」

「なんか急に口数増えてる…

それに急に大胆なんだけど…」

ストレートに愛情表現してくるから、恥ずかしくて、顔は真っ赤だと思う。

抱きしめられてて、顔が見られなくてよかった。

「そうか?」

「緊張しやすいとか言って、本当は結構大胆じゃん。意外と喋るし。」

「俺が自分のこと決めつけてただけなのか……?」

「そうなんじゃない?王子って呼ばれるぐらいなんだから自信持ちなよ。」

私は彼の背中をとんとん、と優しく叩いた。

「だから俺は王子なんかじゃないんだって…
そう呼ばれる資格ないんだよ…」

「そうかな?」

「そうだよ、俺は王子なんて言われなくていいよ。結菜さえ俺を好きでいてくれれば。」

「……バカ。照れるからやめて。」

この半年間がなんだったんだろう、と思うぐらいの彼の変わり具合。

自信を持ってくれたのは良かったけど、これじゃ私の心臓が持たなそうだ。


ねぇ、翔。これからが楽しみだよ。

君から「好きだ」という3文字が聞けたから、私は幸せだよ。