1%の神才

冬戦争も終盤の1940年。


シムナは相変わらず敵を撃ち続けていた。



その集中はあの死神を忘れるほど。



例の死神はそれをつまらなさそうに眺めていた。



もう口出すところがないくらい彼の射撃は完璧なものとなり、確実に当てることができるかどうかの判断も死神に頼らないようになったのだ。



「なあ。」



退屈に耐えきれなくなった死神がやっとのことで口を出すところ見つけ出した。



「うわあ!ビックリした!!」



幸い周りに人はおらず、おかしな独り言となることはなかった。



そしてシムナが驚く声は小さく静かなもので、もうとっくに一人前のスナイパーとなったことを具現化していた。



「息、白くなってるぞ」


「あ、ほんとだ、いけね。」



シムナはそう言うと、雪を口に含んだ。



これは息が白くなって、敵に見つからないためのシムナの工夫だった。



このようなことしか死神がアドバイスするところはない。




「それ、腹壊さねえの?」



「別に、平気だ。」



「それにしても珍しく俺の言うこと聞いたな。」



「うるさい。」



「でも最近口出すことねぇんだもん。あーつまんねー。」



「だからうるさいって。お前も座れよ。相手でお前のことを見えるやつがいたらどうしてくれるんだ。死神って異名もお前を見てつけられたんじゃないのか。」



「大丈夫だって。何度もいうようだけど、お前以外みえてないからな。」




「誰が死神の言うことなんて信じるもんか。」



「そういうなよー。」



「うるさい!どこえなりとも行っちまえ。」



「へぇへぇ、じゃ、1人で頑張ってください。」



そう言って死神はシムナの元を離れた。



その時が初めて死神がシムナから初めて離れた瞬間だった。


死神がシムナの元を少し離れた頃、ひとつの弾丸がシムナの顎から頭にかけて撃ち抜いた。



シムナの顔の半分はなくなっていた。



「シムナ!」



そう叫んだのはあの死神、ではなくシムナの仲間のフィンランド兵士だった。



死神がはというと、目を細めてシムナの方に目をやりながら笑っていた。




「どうだ?シムナ。死神に守られていた気分は?」




死神はそう言い残して去っていった。