よくない。

絶対、よくないよ。

私は、決意した。

「あの、すみません」

私は運転手さんを呼び止めると、お詫びをして迎車の料金を支払い、断った。

そうして、スマホを取り出し、電話を掛ける。

けれど、運転中のコール音が鳴り、留守番電話になった。

「菜穂です。
 今すぐ迎えに来て。
 ここまで連れて来たのは和真さんでしょ?
 ちゃんと和真さんが送って!」

和真さん、来てくれるかな……

ううん、大丈夫。

和真さんなら、絶対に来てくれる。

私は、さっきの丸太に、海ではなく陸側を向いて座った。

さっき眺めてた波の代わりに、祈るように駐車場を見つめる。




和真さん……





─── Fin. ───


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