日菜ちゃんは横山くんのとこへと駆けて行き、私はシクラメンの元に


おー!


元気になってきた!


日当たりの良い場所にずらしたからかな!


よかった


「西村」





最近よく聞く落ち着いた声


「園川くん」


この声に反応する時は、特に教室にいるときなんかは小声になる


忘れてはいけない。


園川くんの本性を知っている私はそれをバレないようにしなきゃならないこと


じょうろを置き、振り向い…





NO MORE!フラッシュバック!



「はよ」


「お、おはよう」


「な、顔赤いけど大丈夫か?」


ふ、触れてくれるな


「大丈夫です…あ」


ボソボソとナチュラルに会話をしている私達の

園川くんの後ろからこちらに近づく女の子1名




離れねば!


ふいっと後ろを向き、園川くんに背中を見せる


「え?ちょ、にしむ…」


「そーのかーわくん!!おっはよ!」


「あ、おはよう」


背中からどっとキラキラオーラが伝わってきた


素晴らしい切り替えだ


園川くんはその子に連れられてクラスの中心部へ…






いいな


みんなの前で…というか


堂々と園川くんと話せるの


人の目を気にして、あんな小さな声でしか話せないなんてなぁ





いや、何言ってんだか


でも…前までは見ることしかできなかったんだから


贅沢言ったらダメだ



贅沢…か


長谷川くんの言葉が思い出される


人には結構言うくせに自分にはあんまり前向きになれないんだよな…


クラスメイトに囲まれる園川くんを見てため息をついた