冷酷姫に溺れて。


「早いうちにやっておきなさい。
またいつ倒れるか分からないからな」

「……うん」

「今日は遅いし、送ってあげなさい」

「え、でも霜月さん家は…」

「お前、自分が飛べること忘れたのか?」

そういえば、そうだった。



霜月さんをお姫様だっこすると、俺は空を飛んだ。

「入井くんって、こう見ると本当の吸血鬼だね」

「まあね」

黒のマントに身を包み、牙はいつもより少し長く出ている。

「吸血鬼ってカッコいいね。
入井くんのお父さん見て、改めてそう思った」

なんで俺は父さんにまで負けるんだよ。

確かに父さんはイケメンだけど、さすがに悔しいわ。

「でも、やっぱり入井くんの方がカッコいい」

え?

「私を守ってくれる正義のヒーローみたいだもん…」

霜月さんは疲れていたのか眠ってしまった。

「…正義のヒーローなんかじゃないよ」

俺は下心丸出しのただの吸血鬼だよ。