冷酷姫に溺れて。

何を飲まされたんだろう。

「俺も帰らないと」

どうも足に力が入らない。

でも、まだ歩ける。

俺は必死に立って歩いた。




「…ただいま」

「千影!?顔が真っ青よ!?」

「大丈夫…今日の分飲んでないだけだから」

口が裂けても言えない。

会長に変な薬飲まされたなんて。

「具合悪いなら言いなさいよ?」

「ああ」

俺は部屋でタブレットを飲むと、ベッドに倒れ込んだ。




「千影、大丈夫か?」

「…父さん」

寝ていたらしく、いつも遅く帰ってくる父さんが目の前にいた。

「どうした」

「ただ血不足なだけ」

「そうは見えないけどな」

やっぱり父さんにはバレるよな。

「何があったんだ。母さんたちには黙っておくから」

言うしかねぇじゃんか。

「…会長に変な薬飲まされた」

「は!?何か症状出てるのか!?」

「立ちくらみと倦怠感ぐらい…」

「そうか。とりあえず、いつもの倍の濃さのタブレットをあげておく。俺は生徒会長の家に行ってくる」

「それは止めてくれ」

「何でだよ!お前を救うためだぞ!」

そうだとしても、俺は嫌だ。

あいつに負けたみたいで。

俺はこんなのに勝つから、止めてほしい。

「…分かった。お前にもプライドがあるんだよな。俺が助けてやるから絶対死ぬなよ」

「ああ。俺にも守りたい人がいるから死ねないし、父さんを信じてる」

父さんと手を握った。