中等部はいつも賑やかだ。
「咲奈、帰るぞ」
「うん」
「お兄さん、僕も!」
俺は咲奈となぜか付いてくる橘桜大と帰っている。
桜大は咲奈といるときがすごく楽しそうだった。
だから、咲奈のことが好きなんだろうなって思う。
「橘は来なくていい」
「方向一緒だし、いいじゃん!」
「はいはい」
咲奈はいつも冷めている。
人間と吸血鬼のハーフではなく、突然変異で超能力者となった咲奈は未来をみることが出来る。
正直、羨ましい。
俺もそういう力が良かった。
でも、吸血鬼として生まれてきたからには入井の名に恥じないように生きないといけない。
それも結構な重圧だよな。
今日も俺はため息をこぼした。



