冷酷姫に溺れて。


父さんたちは気を聞かせてくれて、違う部屋へ行ってしまった。

「…霜月さん、いるんだろ」

「いませんよ」

「じゃあ、そのコートはどう説明するんだ」

「理紗の忘れ物ですね。彼女は忘れっぽいところがあるので」

「本当はベッドの中にいるんだろ?風邪ってのも仮病で」

「ふふふっ。君は本当に面白い人だ」

会長はいきなり笑い出した。

そしてベッドから起き上がった。

「もちろん仮病だよ。理紗もここにいる」

手を縛られてる霜月さんが真っ青な顔で横たわっていた。

「てめぇ!」

「うるさいよ。父さんたちに聞こえるだろ」

「霜月さんになんてことしたんだ!」

「理紗が抵抗したからこうしたんだよ。本当はこんな真似したくなかった」

「じゃあなんでこんな酷いこと…」

「酷い?理紗は浮気したんだよ?その仕返しじゃん」

お前が浮気したくせに。

「僕は理紗一筋だからさ」

「嘘つけ!副会長と付き合ってるのはお前だろ!?」

「ああ、そうだね。僕が愛してるのは彼女だけさ」

「副会長とキスしてたらしいじゃん」

「まあ、好きな人と愛してる人は別だし」

そんなの同じだろ。

こいつ、どんな奴だよ。