冷酷姫に溺れて。

私は一人、ソファーに座って入井くんを待っていた。

スマホの待ち受け画面は先輩と撮ったツーショット写真。

この笑顔は嘘なんだ。

そう思うと胸が張り裂けそうになる。

写真には笑う二人がいる。

全部、全部、嘘。

消去ボタンを押そうとした。

だけど、押す指が震えて。

なんで消せないんだろう。

消したいのに、忘れたいのに。



「やっぱり可愛いな」

入井くんの声が聞こえる。

どうやら、ソファーでうたた寝してしまったようだ。

「……好きだよ」

はっきり聞こえた。

そんなはずはない。

入井くんに好かれるはずはない。

ひょいっと持ち上げられると、フカフカのベッドに乗せられた。

頭を撫でられ、小声で囁かれた。

「おやすみ、理紗」

この手、この声、入井くんのだ。

私のこと、理紗って呼んでた。

なんでかな。

すごい嬉しい。