冷酷姫に溺れて。


「お前、気になってる子とかいないのかよ」

「ばっ……!いねぇよ」

「いるくせに」

「いねぇ!!」

いるけど言ったらバカにされる。

相手は冷酷姫だぞ?

俺なんて眼中にすらないだろうし。


「二人ともうるさい!もっと静かにしなさいよ!」

怒鳴ってきたツインテールの女子は吾田真優(あがたまゆ)

光と同じく俺の幼なじみだ。

真優のお父さんは父さんの側近をしていて、真優のお母さんは母さんの親友だったらしい。

もちろん、今の俺には側近なんていない。

これから付けることもないだろう。


俺は父さんと違って特別な吸血鬼じゃない、そこら辺にいる吸血鬼だから。