冷酷姫に溺れて。


「父さん」

「ん、なんだ?」

父さんは書斎で本を読んでいた。

「生徒会長ってどんな人だった?」

「前にも言ったろ?りりのことを狙っていて俺の気持ちもお見通しの奴だって」

「女たらしとかなかった?」

「うーん。聞いたことないな」

じゃあ、あれは誰の遺伝だよ。

「ちょっと!会長のことを悪く言わないで」

母さんがお茶を持って入ってきた。

「事実だろ!?りりを特別扱いしてたろ?」

「してない!会長は分け隔てなく優しい尊敬すべき人よ!」

んなわけない。

現に今もそうだし。

「お前、まさか……浮気でもしてんのか?」

「するわけないでしょ!私は昔も今も玲音のことしか愛してないわよ!!」

「じゃあ、なんで会長を庇うんだよ!?」

「お世話になったからに決まってるでしょ」

「確かに体育祭は世話になったな。でも、二人きりで生徒会室に居たのは誰だっけ?」

まさか、これは……。

「私だよ!でも、何もないって昔から言ってるじゃない?」

「昔の俺がどれだけ心配したか知らないだろ!?」

「だから、反省してるって言ってるでしょ!?」

やっぱり喧嘩だ。

ほんと、些細なことで喧嘩するよな。

てゆーか、昔話からよく喧嘩出来るよな。

俺は書斎を後にした。