霜月さんは先輩の彼女。
彼女。
だから、俺に冷たかった。
みんなに冷たいんだ。
知りたくなかった。
もう少しは片思い、したかった。
俺は別館に行った。
別館には誰もこないし、普段は立ち入り禁止だから。
まあ、俺は父さんに秘密の抜け道を教えもらったから入れるんだけどな。
父さんがいつもいたという、美術室に行った。
もう、使われなくなったためなのかカーテンは閉め切ってあって、雰囲気も暗くなっている。
ここは父さんが落ち込んだときに来てたとか。
俺もそうしてる。
誰にも会いたくない時とかに来てる。
いつも座っている椅子に座った。
そこにくると涙が溢れた。
なかなか止まってくれない。
困ったな、次の授業まで時間ないのに。
落ち着かせると、別館を出た。
すると、今一番会いたくない人が本校舎と別館の渡り廊下にいた。



