ウエディングドレスを着せてやろう

 ですよね、と思っていると、
「役員たちの前だけで、そういう雰囲気を醸し出してくれればいいんだ。
 一般社員には知られなくていいし。
 お前の普段の生活には影響ないだろ」
と光一は言ってくる。

 一般社員には知られないよう、役員の前だけで、この、別にお前とラブラブになりたいわけではないとか言う男と、幸せそうな雰囲気を(かも)し出せというのか。

 なんという無理難題っ、と思いながら、花鈴は言った。

「ちょっと難しいかと思いますね……」

「諦めるな、戦え」

 ……なにと?

 ますますラブラブから遠ざかっている……と思いながら、
「わかりました。
 努力してみます」
と花鈴は言った。

 この人と話しても無駄そうだな~と思ったからだ。

 だが、失礼します、と頭を下げていこうとすると、
「待て」
と光一が呼び止めてきた。