ウエディングドレスを着せてやろう

 そういえば、再会してから、花鈴が一度も口にしていないことがある。

 彼女の性格からして、真っ先に言ってきそうなものなのに。

「……お前、もしかして、あの箱開けてないのか」

「え?
 なんでですか?」
と花鈴が言ったとき、詩織が横でなにか言うのが聞こえてきた。

 また電話をかわられても、同じ声を作れる自信はない。

 急いでシュークリームの話をして切った。

 横に立つ田畑が機嫌よく言ってくる。

「合コン楽しみですねえ」

「……行けるか。
 第一、お前、俺にさっきの変な声で出ろというのか」
と言うと、笑っていた。

「サングラスにマスクして、ヘリウム吸って出たらいいですよ」

 それ、正体がバレたとき、最悪だろ、と思いながら、光一はテーブルの上に置いたスマホを見つめる。