ウエディングドレスを着せてやろう

 内緒の結婚なので、普段、別に暮らしていてもおかしくはないが。

 遅い時間だから渡しにいけない、というのは、ちょっと妙かな、と気がついた。

 ……やはり、彼女との結婚を疑われているのだろうか。

 もしや、これは罠っ!?
と光一は、ほのかにいい香りが漂ってくる小さな箱を見つめる。 

 だが、罠だったとしても、彼女がシュークリームが好きかどうかを知らない以前に、そもそも住所を知らないんだが……。

 そう悩みながら、結局、光一は箱を手に家に帰った。

「おかえりなさいませ」
と田畑たちに出迎えられ、うん、と返事をしながら、そうだ、みんなに食べてもらおうか、と思う。

 だが、明日の朝、監査役が花鈴にシュークリームの話を振る可能性に気がついた。

 今から渡せはしないが、もらったことくらいは伝えておこうと、部屋に入った光一はスマホを手に窓際の椅子に腰掛けた。

 緊急時、連絡がつくように、秘書である花鈴の携帯番号は登録してあった。