ウエディングドレスを着せてやろう

 一緒に歩き出しながら、詩織の言葉に相槌を打つ。

「私たちの頃の先輩なんて、もっと濃かったんだからね。
 もう秘書から移動しちゃってるけど、事業部の関口さんとか。
 営業の渡辺さんとか」

「うわっ、濃いメンバーですねーっ」

「もっと濃い人も居たけど、寿退社しちゃったわ。

 そうだ。
 あんた、私が厄介だなと思うのなら、寿退社させなさいよ」

「えっ?
 堀口さん、結婚したらやめるんですか? 会社」

「そうねえ。
 仕事も楽しいけど。

 旦那様のために食事を作ったり、お掃除したいするのも悪くないかなあって思って」

 へえ、意外……と思ったとき、頭に浮かんだのは、何故か光一のために、せっせと料理を作っている自分の姿だった。

 いやいや、ないないない。

 それに、絶対、あの器用そうな専務の方が料理も掃除も上手そうだしな
、と自らの想像を笑いながら、詩織について行った。