ウエディングドレスを着せてやろう

「いや、私もね。
 入社したての頃に先輩に誘われたら緊張してたなーと思ってさ」
と感慨深げに詩織は言う。

 当時を思い出したせいで、今の花鈴の気持ちが想像ついたのだろう。

 でも、そうか、と一緒にしみじみしながら花鈴は言う。

「堀口さんにも入社したての頃があったんですよね」

「……あるわよ」
と低い声で言われ、

 ああっ、いや、そういう意味ではなくっ、とまた険しくなってしまった詩織の顔を見ながら、花鈴は慌てて言い訳をした。

「そうではなくてですねっ。
 みなさん、そんな新人の頃を乗り越えて今があるんだな、と思って。

 私も早く会社に慣れるよう、頑張りますっ」

「なによ。
 新人らしい綺麗事言っちゃって」

 いや、私、普段言ってませんかね……?

 やる気は満々なんですよ、一応。

 そうは見えないかもしれませんけど。

 仕事の合間に、お気に入りのブランケットでもふもふして、癒《いや》されたいな~と思うくらいには頑張ってるんですよ。

 そんなことを考えてていると、詩織が言ってきた。

「で? 行くの?
 行かないの?」

「あ、行きます、行きます」

 苦笑いしながら、花鈴は急いで答える。