ウエディングドレスを着せてやろう

「なんだよ。
 休みはちゃんと休まないと、仕事の効率も悪くなるぞ。

 兄の俺が言うのもなんだが、未智(みち)、すっかり綺麗になってるぞ。

 光一に会うのを楽しみに日本に帰ってくるんだから、ぜひ、会ってやってくれ」
と機嫌よく安芸は言ってくる。

「いや……」

「なんだよ。
 未智はお前と結婚するつもりで、この間、幼なじみにプロポーズされたのも断ったんだぞ」

「いや、安芸さん、俺は――」

「お前、未智が風呂に入ってるとき、ドア開けたことあるだろ。
 未智はもうお前以外の奴のところには嫁に行けないと言ってるぞ」

 それ、なにかの罠な感じがしますよね……と花鈴は思っていた。

 安芸と未智に光一がはめられた感じがそこはかとなくするのだが。

 しかし、どうも光一は安芸には弱いらしく。

 仕事では弁が立つのに言い返せず、しばらく黙って彼の妹自慢を聞いていたのだが。

 チラ、とこちらを見てきた。

 チラ、と花鈴も光一を見る。

 ……さっき、なかったことにしようと言ったのにな。

 いいですよ。
 どうせ、作り話だし、あと半年はラブラブな設定なんで。

と目だけで、意思疎通したところで、光一が言った。

「いや、安芸さん。
 俺、実は結婚してるんだ」

 はあ? という顔を安芸がする。