ウエディングドレスを着せてやろう

「これ、前から気になってたんだよね」
と男は言う。

 光一ほどではない気がするが、すっきりしたイケメンだ。

 身長も光一とそう変わらない気がする。

 そんなことを考えたあとで、何故、専務が基準、と自分で思ってしまう。

 まあ、他にあんな非の打ち所のないイケメンを知らないからか、と思った花鈴の頭の中から、尚人(なおと)の姿は消えていた。

 仕立てのよいスーツを着たその男は、腕を組み、少し身を屈めて、自動販売機を見つめている。

「これって、中身入れ替わってるのかな」

「奇遇ですね。
 私も今、それが気になってしょうがなかったんですよ」
と花鈴が言うと、よし、と言いながら、彼は財布を出してくる。

「そんな仲間が見つかったのも、なにかの縁。
 ちょっと買ってみよう」

 えっ、ちょっとちょっとっ、とお金を入れかける男を花鈴は止める。

「待ってくださいっ。
 死ぬかもしれませんっ!」

「いやいや。
 そんな自販機置いてたら問題だよね~」
と言いながら、男はもうボタンを押していた。