うーん。
なんだかわからないが、モヤモヤして不愉快なのは、きっとあのわけのわからない専務に振り回されっぱなしだからだろうな。
なにもされてないけど、もてあそばれた気分ナリ、と思いながら、花鈴は社屋の裏庭を歩いていた。
工場や研究棟もあるこの広い敷地内でもちょっと日が当たらない場所だ。
研究棟の方にお届け物があったのだ。
まだ敷地内の地理に詳しくないので、さっき見た社内マップを思い出しながら歩いていたのだが。
ふと、建物の裏にある、それに気づいた。
かなり古い型の自動販売機。
しかも、カップ式の奴だ。
これ、中身入れ替わってるんだろうかな、と花鈴はつい、その自動販売機を凝視してしまう。
正面のアクリルパネルがちょっと曇っていて、商品の写真が見えづらいのもなんだか怖い。
缶ならよかった、なんとなく、と思ったとき、人の気配を感じた。
いつの間にか、横に若い男の人が立っていて、一緒に自動販売機を見つめていたのだ。



