ウエディングドレスを着せてやろう

「そうだ、縛ろう。
 その方が罪悪感もなくていいだろう。

 お前はきちんと育てられているから、結婚前にこういうことをするのはいけないと厳しく(しつけ)られているんだろうが」

 いや、さっきのお兄ちゃんの感じからして、もうそんなことより嫁に行って欲しい感じなんですけど……。

「だが、縄で縛って抵抗できない状況にすれば、お前のせいではないからな。
 罪悪感に(さいな)まされなくていいだろう」

 その場合、貴方に罪悪感はないのですかね……?

 足を踏んだ罪でドレスを着せられ。

 今度は縄で縛られようとしています。

 どの辺からが犯罪なのでしょう、と思いながら、花鈴は訊いてみた。

「……縄、あるんですか?」

「ない」
と言った光一はフロントに電話をかけようとする。

「持ってきてもらおう」

 待て。
 縄持ってきてくださいって、おかしくないですか?

 頼んで持ってきてくれるものなのですか?

 フロントに頼んでいいのは、電気スタンドや爪切りや、宅配便の梱包に使うガムテープくらいですよ。

 だが、そこで、……いや、ガムテープ、縛れるな、と気づいてしまった。