ウエディングドレスを着せてやろう

 


 なんだかわからないけど、上司にしっかりした秘書になるなよ、と言われてしまいましたよ、と思いながら、花鈴はロッカーの上の方に手を伸ばし、ブランケットをもふもふ触っていた。

 ああ……、落ち着く、と目を閉じかけたとき、ガチャリとロッカールームの扉が開いたので、慌ててロッカーを閉めた。

 詩織が入ってくる。

「お、お疲れ様です~」
と言うと、

「お疲れ様。
 ……なにあんたコソコソしてんのよ」
と詩織が睨んできた。

 この人は自分の目の前に居るものをとりあえず、攻撃してみるようだ。

 シューティングゲームの標的になった気分だ、と思う花鈴に、
「あっ、さては隠れてお菓子食べてたわねっ」
と詩織は言ってくる。

 食べてません、と思ったのだが、そういえば、鞄の中にちっちゃいビスケットがいっぱい入っているお菓子があった。

 なんとなく、ひとつ渡すと、
「いや、くれって意味じゃないわよ」
と詩織は言ったが、そのままその手に、ざらざらとビスケットを入れてみた。

 詩織は無言で、それを見ていたが、やがて、ひとつ取って口に入れる。

 一枚食べたら止まらなくなったらしく、続けて食べていた。