ウエディングドレスを着せてやろう

 沈黙が怖くなったのだ。

 なにか話して気を紛らわせたい。

「いいぞ」
と笑った光一だったが、すぐには話すことを思いつかなかったようだ。

「じゃ、じゃあ、食べ物しりとりを」
と慌てながら、花鈴が言うと、何故だ……という顔を光一がする。

「しりとり?
 もう着くぞ」

「か、カレーライス!」
と黙っていられない花鈴が言うと、

「何故、突然、カ!?
 スイカ!」
と文句を言いながらも、光一は答えてくれる。

「カ、カメッ!」

「食べるのかっ? カメッ。
 メダカッ」

 何故か光一まで、切羽詰まった感じになっている。

 家の格の違いのせいで、自分ばかりが緊張していると思っていたが。

 そういえば、母親に恋人を紹介する立場っていうのも緊張するよな、とようやく気がついた。

 長い塀が見えてきた。

 このお屋敷のような気がする、と思いながら、花鈴は早口に言った。

「カラス!」
「カラス食べないだろうっ」

「じゃあ、カラスが見ていたカレーライスッ」

「なんだ、それはっ。
 いい加減、カラスとカレーから離れろっ」
と光一が叫んでいる間に、門が自動で開く。