「本当に遅れるぞー」
と智也の声がまたして、はーい、と花鈴が言って行こうとしたとき、ひょい、と花鈴を後ろから光一が抱き上げた。
な、なんですかっ!?
と身構える花鈴の顔を、そのまま光一は黙って嬉しそうに眺めている。
し、視線を何処に持っていったらいいかわかりませんっ、と花鈴は困っていた。
親でさえ、こんなに愛しげに見つめてきたことはないと思うのに。
花鈴がうつむいたとき、光一は花鈴を下ろして言った。
「よし、下りよう。
そうじゃないと、その服をお前のパジャマと同じ状態にしてしまいそうだから」
いやいやいや。
なに言ってるんですか、と赤くなりながら、花鈴は光一に手を引かれ、部屋を出る。



