ウエディングドレスを着せてやろう

「なんか今、おにいちゃんと遊んでいた幼稚園の頃が走馬灯のようによぎり……」

 だが、そう言いかけたところで、光一が言う。

「お前の走馬灯は何個あるんだ」

 幼稚園編とか、小学校編とか、各学校にあるのか?
と言われてしまう。

「いえいえ。
 無邪気だった頃を思い出して、妹は今、汚れてしまいました、すみません、と思ったんです」

「いや、ずっと汚れないまま側にひっついてられてもお兄さんも迷惑だろうよ」

 そう言いながら、光一はあっさり花鈴の上から降りた。

「まあ、お前の抵抗の言葉は、今後も聞く気はないが」

 えーっ。
 ひどいじゃないですかっ。

 私の意見は聞かないなんて、さては横暴な夫になるつもりですねっ、と思っていると、光一は少し照れたように振り向き、

「その代わり、それ以外のことなら、なんでも聞いてやる。
 お前の望むこと、なんでも言え」
と言ってきた。