ウエディングドレスを着せてやろう

「いや、む……」

 無理です、という言葉は出なかった。

 光一の唇が強く花鈴の唇に押し付けられ、両の手首も押さえられている。

 一瞬、離れた光一に花鈴は、

「ひど……」

 ひどいじゃないですか、と言おうとしたのだが、光一はもう一度、唇を重ねてきた。

 どうしていいのかわからず、強く目をつぶったとき、
「おーい。
 遅刻するぞー、二人ともー。
 今日休むかー?」
と下から智也が叫ぶのが聞こえてきた。

 いや、恋人とイチャつきたいので休みます、と言う専務が何処に居るんだ、と思いながら、花鈴は光一に訴えかける。