「出勤するまで、まだもうちょっとあるだろ? 二人で二階でゆっくりしてきたらどうだ?」 と智也が言ってきた。 人が淹れてくれた珈琲美味しい、と思いながら、花鈴が庭で飲んでいたときのことだ。 花鈴のうちは、ジャンケンで負けた人間が珈琲を淹れることになっているのだが、かなりの確率で花鈴が負けている。 二人で二階へ行ってこい、という兄の言葉に、父、尚成が、うっ、と詰まる。 何故か父は涙ぐみながら、言ってきた。 「行ってこい、花鈴。 幸せにな……」 いや、あの二階に行くだけなんですけどね。