ウエディングドレスを着せてやろう

 



 花鈴が目を覚まして、
「おはよう」
と下の階に下りると、光一が兄家族も座れる大きなダイニングテーブルで紅茶を飲んでいた。

 ……何故、此処に、専務、と思っている間も、

「光一さん、おかわりは?」

「いえ、結構です」
と志木子と光一の間で、よくある朝の光景が繰り広げられている。

 事態についていけていない花鈴が、

 夢? 夢かな?
 夢なら、遅刻してもいいよな?

 もうちょっと寝てこよう、と戻りかけたとき、

「夢じゃない。
 早く支度しろ、西辻……」
と光一は言いかけ、周囲を見渡した。

 全員、西辻だと気付いたようだ。