ウエディングドレスを着せてやろう

「わかったよ!
 早く君を諦めようと思い過ぎたせいで。

 まだそんなに好きでもないのに、すごく好きだった気になって、思いつめてしまったんじゃないかなっ!?」

 そのとき、今日は夫婦でお散歩をしていたらしい智也たちが通りかかった。

 晴樹を抱っこした智也が、
「いや、好きなんだろうよ」
と言って行く。

 誠子(せいこ)が振り返り、頭を下げていた。

 去りゆく兄夫婦を見ながら、安芸が言う。

「あれが君と僕だったらなんて思ってないし!

 君と自販機の前で語らった、なんてことない時間をいつも思い出してるとかないし!

 未智(みち)が大人になれば、きっと君より魅力的になるだろうから。

 さっさと大人になって、光一を誘惑しろよとか思ってないし!」

 いや、そこはどうなんだ!

 兄バカなのですか。
 ちょっと微笑ましいですがっ。

 うちの兄なら、絶対に言いそうにない、と思う。

 まあ、安芸さんの妹だから、私より魅力的になるのは間違いないだろうが……。