ウエディングドレスを着せてやろう

「こうして目の前にドレスとか突きつけられると、なにか胸が痛むね。
 偽のウエディングドレスだとしても」

 いや、ウエディングドレスは本物ですけどね。

「でも、わかったよ」
と安芸は言った。

「そうして、あのときのウエディングドレスを捨てずにいたということは、君の中にずっと光一を慕う気持ちがあったということだよね」

 そうなんですかね?

「もう少し君の気持ちがハッキリしたら諦めるよ。
 僕はまだそんなに好きじゃないはずだから」
と言う安芸の手には何故かライターがあった。

「安芸さん、なんですか、そのライター……」

「いつの間にっ!」
と安芸はおのれの手にあるライターを見て叫ぶ。

「別にそのドレスに火をつけて、この世から消してしまえとか思ったわけじゃないからっ。

 無意識のうちにつかんでただけだからっ」

 いや、そっちの方が怖いですよ……、と思う花鈴に、安芸は言った。