ウエディングドレスを着せてやろう

 


 駄目だ、西辻に返そう、と思いながら、夕方、光一はユニクロの袋にまた箱を入れ、花鈴を探して廊下を歩いた。

 通りかかったみんながそれを見て、ヒソヒソ話しているのが聞こえてくる。

『今朝、西辻さんもユニクロのでっかい袋持ってなかった?
 セールでもあったの?』

『専務、ユニクロのセールとか行く?』

『あれ、西辻のじゃないか?
 西辻が譲り受けた、忘年会の出し物の伝説の衣装が入ってるとか聞いたぞ』

『出し物の衣装ってなに?
 ナース服?』

『ウエディングドレスって聞いたけど。
 ユニクロの』

 ……ところどころ合ってて、ところどころ違ってる、と思いながら、光一は、その小声で話している連中のところに行き、訊いた。

「西辻を見なかったか?」

「にっ、西辻さんなら、ロッカールームですっ」
と女子社員が慌てて答える。

「そうか、ありがとう」
とその忘年会で使うユニクロの伝説のウエディングドレスを持って、光一は、あのロッカールームへと向かった。