専務が私が箱を開けてないってわかったのは、お金なんて入ってたら、私がすぐに返すって言うとわかってたからなんだな。
花鈴は空き時間にひとり、リラクゼーションルームの、あのちょっとだけ隔絶された気分になるが、なにも隔絶されてはいないソファで、アイスカフェオレを啜っていた。
すぐにアールグレイを手にした詩織が現れる。
「なに渋い顔してんのよ」
と言いながら横に座った。
花鈴は目の前のクリーム色のパーテーションを見ながら呟く。
「いえ、秘密の箱って、開けるまでの方が夢とロマンがつまってますよね、と思って」
そんなふんわりしたことを語ったのだが、詩織は冷静に、
「夢とかロマンってなに?」
と訊いてきた。
「……えーと。
エジプトとかピラミッドとかUFOとかの未確認な物体とか?」
と更にふんわりしたことを語ってみたのだが、詩織は更に冷静に言ってくる。
「UFO以外は未確認じゃないわよ。
で?」
「は?」



