「せっかく駆けつけたのにそのまま帰るのも寂しくてさ。
せめて君におやすみを言おうと思って」
と言う安芸に、
「え、あ、ありがとうございますっ。
あの、よろしかったら、珈琲でもいかがですか?」
とこのままお帰りいただくのも申し訳ないので誘ってみた。
「いや、もう遅いからいいよ。
……おやすみ、花鈴ちゃん」
と花鈴を見つめ、言ってくる。
いや、本当にそれで帰るんですか。
結構なタクシー代使ってきたのに、奇特な人だ……と思いながら、
「安芸さん」
とそのまま帰ろうとする安芸にもう一度、呼びかけたとき、
「おっ、花鈴。
帰ったのか」
と言いながら、赤子を抱いた兄、智也が玄関から現れた。
夜泣きがひどくて、誠子が眠れない日が続いたときなど、抱いて歩くと静かになるので、兄がひとりで晴樹を連れてうちまで来たりすることがよくある。
誠子は居ないようなので、今日もそうだったのかもしれない。
「こんばんは」
と安芸が智也に言ったとき、
「ちょっとっ。
ハルに、なにかかけてやりなさい。
夜はまだ寒いから」
と言いながら、晴樹が羽織るものを持って、母、志木子が現れた。
「あら、花鈴。
その方は?」
と志木子が安芸に目を留めて言う。
せめて君におやすみを言おうと思って」
と言う安芸に、
「え、あ、ありがとうございますっ。
あの、よろしかったら、珈琲でもいかがですか?」
とこのままお帰りいただくのも申し訳ないので誘ってみた。
「いや、もう遅いからいいよ。
……おやすみ、花鈴ちゃん」
と花鈴を見つめ、言ってくる。
いや、本当にそれで帰るんですか。
結構なタクシー代使ってきたのに、奇特な人だ……と思いながら、
「安芸さん」
とそのまま帰ろうとする安芸にもう一度、呼びかけたとき、
「おっ、花鈴。
帰ったのか」
と言いながら、赤子を抱いた兄、智也が玄関から現れた。
夜泣きがひどくて、誠子が眠れない日が続いたときなど、抱いて歩くと静かになるので、兄がひとりで晴樹を連れてうちまで来たりすることがよくある。
誠子は居ないようなので、今日もそうだったのかもしれない。
「こんばんは」
と安芸が智也に言ったとき、
「ちょっとっ。
ハルに、なにかかけてやりなさい。
夜はまだ寒いから」
と言いながら、晴樹が羽織るものを持って、母、志木子が現れた。
「あら、花鈴。
その方は?」
と志木子が安芸に目を留めて言う。



