ウエディングドレスを着せてやろう

 


 孤島のミステリーのように人が居なくなってしまったので。

 いや、まあいいことなんだが……。

 食事のあと、花鈴は光一と別れ、それぞれタクシーで帰った。

 断ったのに、
「いや、今日は俺が送れないから」
と光一がくれたお金を払って、

「ありがとうございましたー」
と花鈴がタクシーを降りたとき、後ろにもう一台のタクシーが止まった。

 安芸が降りてくる。

「あれっ?
 どうしたんですか? 安芸さん」
と言うと、安芸は笑いながら言ってきた。

「いや、仕事終わったから合流しようと思って行ったら、ちょうど君たち帰るところでさ。

 僕、人生で初めてやっちゃったよ。

『運転手さんっ。
 あの車を追ってくださいっ』って」

 安芸さん、楽しそうですが。

 それ、私が刑事に追われてる犯罪者だと思われてませんかね、と去りゆく、もう一台のタクシーを見送った。