「いや~、花鈴様のことは、田畑からいろいろ頼まれていたので、存じ上げてたんですが」
そう語り出す高倉に、
一体、なにを頼まれてたんですか……と花鈴は思ったが。
どうも、花鈴の周辺の情報収集だったようだ。
「あの日、たまたま他の仕事中に花鈴様と目が合ってしまいまして。
目を合わせてしまったこともまずかったんですが。
うっかり知らない人のフリをするのを忘れたのもまずくて。
それで、つい、田畑のフリをしちゃいまして。
あそこで私が貴方がたに田畑だと名乗るのが状況的にもよかったですし。
いろいろ誤魔化せました。
ありがとうございます」
と礼を言われてしまう。
……いや、なんの仕事してるんですか、高倉さん。
怪しい密偵かなにかなのかと思ったが、基本、お屋敷の使用人をしているということだった。
基本って、なんだろうな、と思いながらも、なんとなくスルーして、みんなで店に入った。



