ウエディングドレスを着せてやろう

「うん。
 楽しかったよ……」
と言いながら、花鈴のテンションはちょっと下がっていた。

 さっきのキス。

 私が振り向いたからキスした感じになっちゃったってことは。

 私の方からしたってことになるのだろうかな。

 なんか専務に申し訳なかったな……、などといろいろ考えていると、

「なによ、疲れたの?
 最初に格好つけてると、あとが続かないわよ」
と仙子が忠告してくれる。

 いやいや。
 いつも職場でボロボロになってるところも見せてるから、格好つけるとかはないんだけどね、と思う花鈴に、仙子が言った。

「それより、コンパ頼むわよ、コンパ」

「あ、うん。
 来週の日曜でいいかな」

「なによ、急に早くなったわね」
と言う仙子としばらく話していたのだが。

 自分からしてしまったキスのことばかりが気になって、なんにも頭に入ってこなかった。

「あー、聞いちゃいねえ、聞いちゃいねえ。
 こいつ、人の話、聞いちゃいねえ。

 なんだかんだでご馳走様。

 漫画、これ貸してねー」
と仙子は三冊漫画をつかむと、おやすみーと出て行った。

 相変わらず気ままな友だちだ。