ウエディングドレスを着せてやろう

 なんだかんだで安芸の邪魔が入らずにデートできそうなので機嫌のいい光一が、
「なんだ。
 お前も履いてみたいのか」
と軽口を叩くと、田畑は真剣に考え込んでいた。

「そうですね。
 うちもそういうの駄目だと言われてたんで。

 友だちが履いてるのがうらやましかったんですよ。

 だから、ちょっと履いてみたくはあるんですが。

 でもあれ履いてると、暗闇で身を隠せないので、やっぱいいです」
と言ってくる田畑に、

「いや、お前は何処を目指してるんだ……。
 忍者か」
と言うと、田畑は大真面目に、

「いえ、私は忍者ではありません」
と言ってくる。

 英語の教科書か、という回答だった。

 あれは下駄箱ではありません。

 いや、よく見ろ、といつも思うのだが――。