……専務のことは考えまいと、気持ちを切り替えたはずなのに専務が居るなあ。
いや、上司なんで当たり前なんだが、と思いながら、花鈴は専務室に居た。
秘書室長に頼まれた報告をしながら、業務連絡でもしたら? という詩織の言葉を思い出す。
この内容をLINEで送ってみようか。
いやいや、情報漏洩したらまずいしな。
二人しか見てないはずなのに、既読2とかなったら困る、と花鈴は思う。
昨日の夜、光一が同じようなことを考えていたとも知らぬまま。
「……失礼します」
といろいろ考えながら、お辞儀をして出て行こうとすると、
「待て」
と光一が言ってきた。
この人が、待てとか言うと、ロクなことがないような、と思いながら、上司命令なので花鈴は足を止め、振り返った。
「なにか物言いたげだな、西辻」
いや、言いたいことがないから、困ってるんですけど。



